DIC症例に対して、包括的な凝固能と線溶能を同時に評価可能な凝固線溶波形解析(CFWA)、トロンビン・プラスミン生成試験(T/P-GA)を用いて評価した。DIC症例は74例で、基礎疾患は敗血症57例、血液腫瘍や大動脈瘤など、その他の原因17例であった。 CFWAのパラメータは、最大凝固速度(min1)、最大線溶速度(FL-min1)を用い対正常血漿比で評価した。その結果、DICをtype1(相対的な凝固能優位 min1比>FL-min1比)、type2(凝固線溶能が均衡min1比≒FL-min1比)、type3(相対的な線溶能優位min1比<FL-min1比)、type4(凝固線溶能の崩壊)の4typeに病型分類することができた。次にCFWAの各病型におけるトロンビン・プラスミン生成試験(T/P-GA)の動態を評価した。T/P-GAのパラメータとして、凝固能はpeak値(Th-peak)、線溶 能はpeak値(P-peak)を用い対正常血漿比で評価した。 CFWAでtype1と分類された症例のうち、70%がトロンビン生成優位であった。同様に、type3と分類された症例のうち、100%でプラスミン生成優位であり、type4 では75%でトロンビン/プラスミンの両生成が著しく低下していた。CFWA分類による凝固線溶不均衡タイプのDICではT/P-GAバランスと概ね相関し、CFWAでの線溶抑制ないしは亢進パターンがT/P-GAでも確認 できた。また患者血漿にDICの治療薬であるトロンボモジュリン(TM)を添加し、T/P-GAで評価を行ったところTh-peakの低下(凝固能の抑制)を確認した。重症度が上がるにつれてトロンボモジュリン添加前後の変化率は低下し、患者ごとにトロンボモジュリンの投与量を調節する必要があることが示唆された。
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