本研究の目標として掲げた項目は以下の項目である。1.6分割トランスデューサーの作成。2.位相変調照射の導入。3.焦点可視化プログラムの実装。4.幾何焦点方式であったシステムを可変焦点方式に高性能化するため、RFアンプを増設する。5.ガイド用超音波像のHIFUノイズ除去手法を導入する。6.超音波散乱信号変化による治療モニタリングを導入する。7.動物実験の実施。これらのうち以下の項目について成果があった。1.6分割トランスデューサーの作成について。東北大学チームが作成した基礎実験用6分割トランスデューサーを用い、動物実験を行った。分割照射が可能であり、皮膚表面に発生する熱量を軽減することができた。論文掲載に至った。また、臨床施用するためのトランスデューサーが完成した。3.焦点可視化プログラムの実装について。東北大チームとの共同研究において動物実験を行った。その結果焦点を事前に可視化することに成功した。また、焦点の照射前把握だけでなく凝固形状の予測や、骨や気泡による反射に伴う意図せぬ発熱の予測にも利用可能であることがわかった。現在論文投稿中である。4.幾何焦点方式であったシステムを可変焦点方式に高性能化することができた。7.動物実験倫理委員会、IRBへの申請および承認について。動物実験倫理委員会の承認を得た。 英字論文掲載が3編、国際学会(ISUOG2018)での発表を1件行った。成果を上げた実装項目があった一方、導入を見送るべき実装項目も存在した。またコロナ禍における動物実験施設の閉鎖、移動の制限、物品の納入停滞などが重なり、満足のいく進捗ではなかった。臨床使用に向けて進捗はあったものの、高い安全性、精度、効率を求め、基礎検討を重ねていくよう研究計画を変更を余儀なくされた。
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