動脈管は胎生期の低酸素状態で開き、生後酸素濃度の上昇に伴い、収縮し最終的に索となり閉鎖する。動脈管が胎生期開存していることは生命維持に必須であり、生後閉じないと心不全に陥る。動脈管にいかにして生存に合目的なこのような性質が備わるかは不明である。動脈管は、発生初期に生じる左第Ⅵ咽頭弓動脈から形成される。動脈管に備わる酸素感受性の起源はこの左咽頭弓動脈にあるのかもしれない。左右の咽頭弓動脈における遺伝子発現の違いを検討した研究はまれである。本研究は、いまだ端緒を開いたばかりの段階であるが、成果は、新生児肺高血圧症などの治療のための、血管収縮弛緩の制御法の開発につながる。
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