研究課題
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy: DMD)に対してアンチセンスオリゴヌクレオチド(As-oligo)によりエクソンスキッピングを誘導する治療が注目されている。エクソン内スプライシング制御配列を標的とし、スプライシングを変化させる治療であり、近年世界各国で治験や臨床応用が進んできている。しかし、明確な臨床効果を示すには至っておらず、治療効果を増強する新たな戦略の開発が急務となっている。申請者らは、多数のDMD症例の遺伝子解析を実施してきた中で、イントロン内にスプライシング制御配列が存在することを見出し、これをAS-oligoにより制御することで従来のエクソンスキッピング治療効率を増強し得ることを着想した。本研究では、DMD症例においてイントロン内欠失領域とスプライシングを検討することによりイントロン内スプライシング制御配列を同定し、さらに同領域をAS-oligoにより制御することでエクソンスキッピング効率を増強し得ることを検証する。本研究では、まず欠失変異を有するDMD症例において欠失領域近傍のイントロン配列を解析した。DMD遺伝子は巨大であるためそのイントロン配列解析は容易ではない。我々は、欠失変異を有しているDMD患者の末梢血より抽出したgDNAを用いて、PCR法・直接塩基配列解析法などによりイントロン配列を解析した。さらに末梢血もしくは筋由来のmRNAを用いてスプライシングパターンを解析する系を確立した。イントロン配列とmRNA解析より得られたスプライシングパターンをあわせて検討し、イントロン内のスプライシング制御配列の同定およびそれらの配列がエクソンスキッピング治療効果へ与える影響について検討した。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)
Clinica Chimica Acta
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