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2018 年度 実施状況報告書

胎盤細胞におけるm6A修飾の機能及び、妊娠合併症の機能解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K15737
研究機関国立研究開発法人国立成育医療研究センター

研究代表者

谷口 公介  国立研究開発法人国立成育医療研究センター, メディカルゲノムセンター, 研究員 (90808718)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード胎盤 / RNA / RNAメチル化 / N6-Methyladenosine / epitranscriptome
研究実績の概要

本研究は、ヒト胎盤におけるepi-transcriptome解析をもとに新たな妊娠合併症の病態解明を目的とする。ヒト胎盤17検体を用いて、代表的なepi-transcriptomeであるmRNAのメチル化(N6-メチルアデノシン: m6A)の網羅的解析を詳細に検討した。主に正常胎盤とPreeclampsia(PE)胎盤を比較検討した。
5’-UTRのm6A修飾量は、疾患胎盤で特徴的なパターンを示したため、5’-UTRに注目し、疾患胎盤特異的に修飾を受ける遺伝子を同定した。なお、5’-UTRのm6A修飾は翻訳を促進することが報告されており、同じ発現量だが修飾量の違う遺伝子に注目することで新たな病態理解を目指した。
正常胎盤と疾患胎盤で5’-UTRのm6A修飾量に有意差のある遺伝子群(differentially methylated gene: DMG)に対しpathway解析を行った。PEのDMGにはhomeostasis of sphingolipids関連遺伝子群が同定された。この中にはセラミド合成酵素であるSMPD1が含まれ、PE胎盤で有意にm6A量が増加していた。PE胎盤ではセラミドの発現が増加する。またセラミドを合成するSMPD1はPE胎盤で正常に比べ遺伝子発現量は同じだが、タンパク量が増加することが知られており、この解離にSMPD1の5’-UTRのm6A修飾が関与していると仮説を立てた。
仮説検証のため、絨毛細胞のcell lineであるJEG3を用い、PE患者で上昇するTGFβ1, TGFβ3、また酸化ストレス誘発としてニトロプルシド(SNP)を投与する系を用いた。結果はTGFβ3刺激でのみ、刺激なしと比較して遺伝子発現量は同じだが、タンパク量は有意に増加した。さらにTGFβ3刺激では5’-UTRのm6A修飾量も有意に増加しており、PE胎盤と同様の挙動を確認出来た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ヒト胎盤での詳細な網羅的m6A解析と、cell lineでの病態再現実験に予想以上に時間がかかった。cell lineでの刺激実験に対しても、網羅的m6A解析を行なったが、現在解析途中である。これらの細胞実験をもとに、より明確にm6A修飾部位を同定し、遺伝子の特定の領域単位で定量する系を考えており、解析系の見直しにも時間を要している。
さらに、当初予定していた疾患胎盤(Preeclampsiaなど)からの初代培養細胞の検体数がまだまだ足りず、臨床部門と連携して病的胎盤収集システムの改善を図る必要がある。

今後の研究の推進方策

新たなm6A修飾定量の解析系を立ち上げ、どのような組織、細胞であっても遺伝子の特定の領域を定量できる系を確立する。
同時に、疾患胎盤、正常胎盤から得た初代培養cytotrophoblastに対し、RNAseqと網羅的m6A解析を行い、細胞単位でのepi-transcriptomeのプロファイリングを行う。
さらに、疾患胎盤から得た初代培養細胞のSyncytiotrophoblastへの分化におけるm6A修飾異常の検討を同様に網羅的m6A解析を用いて進める。

次年度使用額が生じた理由

本来の胎盤から得た初代培養cytotrophoblastの解析がまだ未実施であるため、その分の研究費を繰り越した。

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公開日: 2019-12-27  

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