• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実施状況報告書

脳腸相関におけるプロスタグランジンI2の役割解明と新規IBS治療薬への挑戦

研究課題

研究課題/領域番号 18K15739
研究機関旭川医科大学

研究代表者

粂井 志麻  旭川医科大学, 大学病院, 医員 (00548969)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード腸内細菌 / 短鎖脂肪酸 / 脳腸相関
研究実績の概要

IBSとは、明らかな肉眼上の形態学的な変化を伴わず、内臓知覚過敏による腹部不快感や排便習慣の変化を特徴とする機能異常による腸疾患である。IBS患者では、持続的なストレスを経験していることが多く、消化器症状以外の不眠、抑うつ、食欲低下といった症状を同時に高率に合併している。
近年、大腸内視鏡検査の普及に伴いIBSにおける腸管の微小炎症の存在が指摘されている。また、不安や抑鬱が消化管機能に影響を及ぼすことはよく知られているが、腸管が中枢神経に影響を及ぼし行動に変容をもたらす知見も集積しつつある。申請者は、IBSの微小炎症と脳腸相関に着目し、「末梢の炎症の収束が脳腸相関の負のスパイラルを是正する」という仮説を立てた。
本研究では、IBSモデルとして早期母仔分離(MS)モデルを用いた。内臓痛覚閾値は、無麻酔下ラットの直腸に尿道カテーテルを挿入し、バルーンを段階的に進展させ、針筋電図により検出される腹筋収縮をきたす最小バルーン容量(AWR閾値)と定義した。
MS群では、対照群(母子分離していない同胞ラット:NH群)に比べ、内臓痛覚過敏(AWR閾値の低下)、不安様行動(高架式十字路試験)、鬱様行動(強制水泳試験)を認めた。次にMS群ラットに対してIP作動薬の経口投与を行うと内臓痛覚過敏 、不安様行動、鬱様行動がいずれも消失した。
MS群IP作動薬Gでは、腸内細菌叢の変化や 糞便中の乳酸の増加を認めた。また、MS群IP作動薬投与、MS群NS投与、NH群IP作動薬投与、NH群NS投与の4つのグループ(G)の血清のメタボローム解析を行ったところ、1-Methynicotinamide(MNA)のみがMS負荷による上昇とIP作動薬投与による低下を認めた。さらに血清MNAは、内臓痛覚閾値と負の相関関係を示し、強制水泳実験において不動時間と正の相関を示し、即ち内臓知覚過敏と鬱状態に相関関係を認めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでIBS病態モデルに対してIP作動薬を投与し内臓知覚、不安・鬱様行動が是正される事実を見出し、IBS病態の改善に関与しうるメディエーター候補を複数同定することができた。

今後の研究の推進方策

今後は、これまでに同定したメディエーターがIBSの病態に実際に関与しているか因果関係を明らかにし、さらにその分子メカニズムを解明する。

次年度使用額が生じた理由

メタボローム解析に費用が想定以上に必要となったため。

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi