研究課題
今年度は、胎生期の未熟な腸上皮増殖性の前駆細胞から、成体の腸上皮幹細胞が成熟する過程の詳細を明らかにすることができた。具体的には、胎生期の腸上皮を構成する増殖性の細胞には、成体の成熟幹細胞に分化する確率を皆等しく有していることを、複雑な数理モデルと、腸上皮移植システムを用いて明らかにした。上皮傷害関連リプログラミングの基本となる細胞可塑性を、発生段階で詳細に検討し、明らかにした本研究成果は、基礎・臨床の双方によって重大な結果である。胎生期の未熟な腸上皮増殖性細胞の全てが機能的腸上皮幹細胞に成熟するという本研究の結果は、高い臨床的有用性、特に再生医療への細胞使用に向けた多大なる意義を有している。何故ならば、すでに胎生期の未熟な腸上皮増殖性の前駆細胞をヒトiPS細胞から誘導する技術が開発されている中にあって、この誘導されたiPS由来腸細胞を再生医療に使用する場合において、成体の幹細胞をさらに分離・精製する必要がなく、そのまま使用できる可能性を示しているからである。まさに細胞調整における時間・費用の大幅な低減を可能とする画期的な成果である。基礎医学的には、発生段階で成体の機能的に成熟した幹細胞がいかに供給されうrかに関する未知の機構を解明した新しい研究成果として注目されているだけではなく、本研究は我々が世界に先駆けて開発した上皮オルガノイド移植実験が複雑な数理モデルと同レベルの幹細胞の機能解析研究における重要なツールであることを明らかにしている。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
Regenerative Therapy
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