本研究では、近年増加している炎症性腸疾患の新しい治療、便細菌叢移植に関して効果及び合併症などを明らかにすることを目的とした。結果、潰瘍性大腸炎患者3名が寛解し、合併症は認めなかった。その過程で、ステロイド依存患者では効果が乏しいことに気づきマウス実験を追加した。マウスにステロイドを投与すると、大腸粘膜を保護するムチンを減少させさらに細菌叢を変化させた。ムチンを補充して、ステロイド投与マウスに便移植行うと、ムチンを補充しないマウスに比べて補充した方が便移植の治療効果が高いことが分かった。大腸ムチンは腸内細菌叢を制御し、ステロイドは大腸ムチンを減少させ腸内細菌叢を変化させていることが分かった。
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