研究課題/領域番号 |
18K15754
|
研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
高橋 宏和 佐賀大学, 医学部, 講師 (20607783)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 非アルコール性脂肪性肝疾患 / 運動療法 / 肝線維化 / バイオマーカー / 網羅解析 / サルコペニア |
研究実績の概要 |
本研究では、運動によって惹起される肝由来のligand(へパトカイン)に着目し、ヒトNAFLDおよび動物モデルの肝組織、血清の網羅的解析結果を元に新規へパトカインを探索し、更に肝臓における機能解析によってNAFLD治療への応用の可能性を検討している。加えて血中におけるヘパトカインの動態を解析し、NAFLDにおける運動療法の実施や効果判定などを『可視化』できるバイオマーカーの確立を目的としている。本年度は候補物質を数種類に絞り込み、Heat shock protein(HSP)の一種であるHSC70 (heat shock cognate 70)を主たる候補として採用した。HSC70はHSP70ファミリーに属し、HSP70と結合し相同的に分子シャペロンとして機能するが、生活習慣病やNAFLDとの関連は解明されていない。本研究ではヒトNAFLD血清におけるHSC70と骨格筋量や日常活動度どの相関検討、またヒトNAFLDに対する運動療法前後での変化を検討した。また動物モデルでは高脂肪食負荷、CDAA食負荷マウスに運動負荷を行い、血清及び肝臓でのHSC70の変化を検討した。またin vitroで培養ヒト肝星細胞をTGFb1刺激で活性化し、HSC70の添加を行い、肝星細胞の活性化及びTGFbシグナリングの抑制をすることを突き止めた。更にHSC70が遠隔臓器で、特に糖脂質代謝に与える生理活性を検討する目的で培養骨格筋細胞、脂肪細胞、褐色脂肪細胞を用いて糖取り込み能の検討を行った。現段階ではHSC70を含めて糖取り込みを活性化させる候補物質は同定されておらず、今後更にスクリーニングを継続する。今後はこれまでに報告されている他のへパトカインについて、ヒトNAFLD及び動物モデルでの運動における動態確認も行う。本研究は既に論文作成段階にあり、研究成果の発表を積極的に行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト、マウスモデル、in vitroでの検討と研究は多岐にわたるが、予定通り実験計画は遂行されている。
|
今後の研究の推進方策 |
同定された物質のin vivoにおける効果を検討していく。更にヒトNAFLDにおいては多数例でのvalidationを行う。またヒトNAFLD肝での発現を検討し、病態との関連を検討する。
|