申請者は、胆道癌幹細胞への向性を持つエクソソームを抽出し、その表面分子を解析することを目的として研究を計画した。具体的には、(1)エクソソームを用いた胆道癌幹細胞特異的治療への応用、(2)胆道癌幹細胞上の分子を標的とした、胆道癌幹細胞特異的治療への応用、さらに胆道癌幹細胞に向性を持つエクソソームに内包される microRNA 等の分子を解析し、(3)胆道癌組織における胆道癌幹細胞の発生・維持に重要な役割を持つ microRNA の探索を行う、という形での臨床応用を目的としている。
研究2年目である本年は、1年目に確立した手法を用いて、様々な癌細胞や正常細胞からエクソソームを回収した。また、電子顕微鏡でエクソソームを観察し、またエクソソームに内包されるDNAやRNAの抽出や表面分子の解析を行った。 さらに、マウスモデルを用いて胆道癌組織から細胞の単離を行った。まず胆道癌ゼノグラフトモデルを用いて、胆道癌組織から幹細胞を単離した。また同マウスに蛍光標識したエクソソームを投与後、胆道癌組織においてエクソソームが取り込まれることを確認した。現在は、エクソソームが取り込まれた細胞を単離し、胆道癌微小環境におけるエクソソームの役割について検証しているほか、DNAやmicroRNAなどエクソソームに内包される分子にも注目して、癌の進展におけるエクソソームの役割およびエクソソームを介した癌幹細胞の情報伝達についてさらなる研究を進めている。
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