研究実績の概要 |
本研究の目的はヒト胃オルガノイド発癌モデルを作成し、胃癌治療への応用につなげることである。 本研究では、臨床研究として倫理委員会から承認を受け、胃内視鏡時のヒト胃検体を取得し、ヒト胃オルガノイドの培養を行い、作成したヒト胃オルガノイドを用いて胃発癌モデルの作成を試みた。ヒト胃オルガノイドは上皮マーカーのE-cadherinや分極マーカーのβカテニンの細胞膜での発現を確認した。また構造的に単純なスフェロイド状の形態が、既報にあるような凹凸を伴った構造になることも確認した。さらに胃マーカーHGMが内腔で陽性となっているオルガノイドを確認できた。 ヒト胃オルガノイドの継代は可能であったが、長期継代は難しいことが明らかとなった。当初予定していた長期継代に基づくヒト胃オルガノイド発癌モデルの作成には至らなかったものの、継代したヒト胃オルガノイドに対してISX標的薬の候補薬群を投与し、ISX発現などを確認することはできた。また作成したヒト胃オルガノイドに関して、mRNA発現解析や蛍光免疫を用いた解析を、ISXや胃マーカー(MUC5AC, HGM,SOX2など)、腸上皮化生マーカー(CDX2, MUC2など)に関して行った。ヒト胃オルガノイドの長期培養条件の検討が課題であることが明らかとなった。
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