研究課題
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD) の肝においては、ユビキチン・プロテアソーム系やオートファジー・ライソゾーム系という細胞内蛋白分解システムが抑制さ れている。これにより細胞内には異常蛋白が蓄積し、NAFLDの病態進展に寄与すると考えられている。現在までに我々は、遊離脂肪酸のオートファジーに及ぼす 影響を解析した。高脂肪食マウスの肝臓において、オートファゴソーム蓄積が認められたが、オートファジーの選択的基質であるp62やユビキチンも増加してお り、高脂肪食マウスの肝臓においては、オートファジーの後期段階が障害されていることが示唆された。そこで、詳細にautophagic fluxを解析するため、培養 肝細胞を不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸それぞれで処理し、autophagic fluxに与える影響を検討したところ、不飽和脂肪酸と異なり、飽和脂肪酸暴露において高脂 肪食マウスと同様に肝細胞内にオートファゴソームが蓄積していた。そこで、オートファゴソームの合成能と分解能を評価したところ、オートファゴソームの合 成能は飽和脂肪酸暴露により変化しないものの、オートファジーの後期段階が障害されていた。オートファジーの後期段階をさらに解析したところ、飽和脂肪酸 暴露において、オートファゴソームとライソゾームの融合が抑制されていた。また、この障害は小胞体ストレスと相関しており、飽和脂肪酸による小胞体ホメオ スタシスの破綻がオートファジー機能を抑制することがわかった。しかし、どのような機序で飽和脂肪酸が惹起した小胞体ストレスがautophagic fluxを障害す るかについては不明であり、今後さらなる検討が必要である。
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Biochem Biophys Res Commun
巻: - ページ: -
10.1016/j.bbrc.2023.149394.