研究課題/領域番号 |
18K15771
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
星川 恭子 山形大学, 医学部, 助教 (20613053)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 非アルコール性脂肪性肝炎 |
研究実績の概要 |
申請者らの最終目的は、脂肪性肝疾患における肝再生の分子生物学的機構を明らかにすることであるが、本研究では基礎的検討として脂肪性肝疾患マウスモデル動物を用いてNAFLDにおける肝障害後の肝再生のメカニズムを解明することを目的としている。 初年度は、食餌負荷による正常、単純性脂肪肝および NASH マウスモデルを確立することを目的とし実験を行った。結果、FFC食餌負荷20週のマウスでは組織学的に肝内の炎症と線維化を伴うNASHが誘導されていたことを確認しNASHマウスモデルを確立できた。 昨年度は、増殖因子であるEGFファミリーに属するEpiregulin遺伝子を欠損させたマウスに脂肪食負荷を行い、肝障害下の肝再生のメカニズムを解明することを目的とした実験を行った。Epiregulin遺伝子欠損マウスでは、対照群である普通食を投与されたマウスと比較し、体重が重く、肝の脂肪化の程度が高く、組織学的にNASHが増悪していた。 今年度は、得られたマウス肝組織の解析を継続して行い、増殖因子欠損がNASHに与える影響について結果をまとめるとともに、再生に関与する遺伝子発現解析も施行する予定である。さらに高脂肪食餌負荷マウス肝の肝再生にかかわる遺伝子発現について、次世代シーケンサーを利用した網羅的な解析も予定している。最終的には肝再生に強く関与する分子の特定に至れば、阻害薬投与あるいは当該遺伝子欠損マウスを用い、NASHマウスモデルにおける肝再生の促進効果などについて検討することができると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脂肪性肝疾患における肝再生の分子生物学的機構を明らかにすることを目的とした本研究においては、昨年度までに食餌負荷によるNASHモデルマウスの確立と、増殖因子Epiregulin遺伝子欠損マウスに対する、食餌負荷の実験が終了している。今年度は、主に得られた肝組織や血清を用いて、肝再生に関わる因子の解析を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までに得られたマウス肝・血清検体を用いて、今年度も引き続き再生に関与する遺伝子発現についてリアルタイムPCRを用いて解析を継続していく一方、高脂肪食餌負荷マウス肝の肝再生にかかわる遺伝子発現について、次世代シーケンサーを利用した網羅的な解析も予定している。組織学的解析としては、得られた肝組織について特殊染色で線維化を評価するとともに、マクロファージマーカーの免疫染色で炎症の評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、産休・育休に伴う休業期間があり一時実験が中断していたため、当初の予定より支出が少なくなった。次年度も、当該年度で得られたマウス肝・血清検体の解析のために、実験に使用する試薬等物品の購入での使用を予定している。
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