研究課題
Streptococcus属が食道アカラシア患者の口腔内(18.3%)、食道内(31.7%)で最も豊富な属種であった。口腔内と食道内細菌叢でα多様性に有意差は見られなかった。一方で、Principal coordinate analysisで口腔内と食道内細菌叢に有意差がみられたことから、口腔内・食道内の細菌叢の構成に有意な違いがあることが分かった。食道アカラシア患者と食道癌患者との比較すると、食道扁平上皮癌患者の口腔・食道においてもStreptococcusが最も頻度の高い属種であり、食道アカラシア患者との有意差を認めなかった。POEM前後での口腔内・食道内細菌叢の変化をみると、POEMの前後でα多様性、β多様性に有意差は見られなかったが、relative abundanceをみると、POEM後にHaemophilusとNeisseriaの割合が有意に増加していた。これらの属種は逆流性食道炎患者の食道で高頻度にみられる細菌であり、POEMの術後合併症である逆流性食道炎のために増加した可能性が考えられた。POEM後の内視鏡所見のGrading scoreには有意な改善がみられた。POEM後には食道内でHoemophilusとNeisseriaの割合が有意に増加しており、POEMの合併症である逆流性食道炎の関与が疑われた。POEM前後で食道内細菌叢の多様性に有意な差はみられず、食道内細菌叢と食道扁平上皮癌発癌の関連は見いだせなかった。また食道アカラシアの疾患特異的な食道内細菌叢の有無は見いだせなかった。内視鏡所見はPOEM後に有意に改善しており、POEMが食道扁平上皮癌の発癌リスクを下げる可能性はあるが、食道内細菌叢との関連は不明であった。
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Turk J Gastroenterol
巻: 32(1) ページ: 42-52
10.5152/tjg.2020.19995.