研究課題
SVR達成群とSVR後肝癌群の背景肝での網羅的メチル化解析、および腫瘍組織も加えた発現量解析を行い発現量が有意に変化したTMEMを同定した。TMEMの組織染色の結果から腫瘍浸潤血管内皮細胞に特徴的な発現が見られた。肝由来血管内皮細胞株TMNK1にTMEMを過剰発現させ、作製したヒト初代肝細胞癌細胞と既存のヒト肝細胞癌細胞株Huh7に混合させ、免疫不全マウスに移植させた。結果、TMEM過剰発現血管内皮細胞は、腫瘍形成を有意に亢進することが確認できた。また、背景部や腫瘍部でのTMEM高発現群で有意に肝癌無再発期間が短期であった。TMEMが血管内皮細胞の小胞体に存在していることを蛍光2重染色から発見した。肝由来血管内皮細胞株TMNK1に灌流培養によるShear stressを与えERストレスを誘導させた。更に、siRNAを用いてTMEMの発現を抑制した時のShear stressによるERストレス解析も行った。結果、Shear stress誘導は、TMEMの発現を顕著に増加させ、siRNA TMEMによる発現抑制するとshear stressによるERストレスは有意に抑制させた 。そこで、TMEM過剰発現させた肝由来血管内皮細胞株TMNK1のERストレスの影響を解析した。結果、TMEMは、ERストレスシグナルであるATF6/p-STAT3/1L6経路を特徴的に活性化させることが分かった。これらの結果から、TMEMは、ATF6からのp-Stat3を活性化させることで、過剰にIL6を分泌させ、腫瘍形成を亢進することが示された。したがって、TMEMは、肝発がん及び肝細胞癌の治療標的になり得ることが示唆された。
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