研究課題/領域番号 |
18K15781
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
清水 孝洋 京都大学, 医学研究科, 医員 (70812684)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 胃癌 / 慢性胃炎 / ゲノム異常 / 腸上皮化生 |
研究実績の概要 |
本研究では、胃癌がどの細胞から発生するのかを明らかにするために、H.pylori感染に伴う高度萎縮性胃炎を背景に発生した早期胃癌症例について、非癌部胃炎粘膜に存在するゲノム異常の詳細な解析を行った。 まず、解析を行うためのサンプル調整の方法を検討した。 内視鏡的切除術を施行した早期胃癌症例のFFPEサンプルからLaser Microdissection法を用いて組織を採取、DNAを抽出する方法を試みた。癌部からは全エクソン解析が可能な量のDNAを抽出することができたが、非癌部胃炎粘膜の一腺管からは十分量のDNAが得られなかった。癌部から得たDNAを用いて全エクソン解析を行ったところ、ホルマリン固定によって架橋構造など遺伝子に修飾が加わるため、データ解析の工夫が必要であり、現在解析方法を検討中である。 次に、一腺管など微小サンプルからも質の良いDNAを得られるようにするために、ホルマリンを用いない方法で固定したサンプルからLaser Microdissectionにて組織を採取、DNAを抽出する方法、ならびに固定液にて固定をせずに腺管を単離する方法を試みた。 上記3つの方法には、サンプルの質の問題だけでなく、染色の方法の問題もあるため、どの方法が最も解析可能であるのかを比較検討した。その結果、固定した標本では様々な染色が可能であるため各細胞の取り分けができる反面、十分な質のDNAの採取が難しいことが分かった。一方、組織を固定せずに腺管分離する方法からは、質の良いDNAが得られた。これらの方法を用いて、複数の症例からサンプルを採取し、ゲノム異常の解析を進めている。複数症例の各腺管におけるゲノム異常を解析することで、ゲノム異常が多く蓄積した腺管を同定できると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初はFFPEサンプルからLaser Microdissection法を用いて組織を採取する予定であったが、細胞の取り分けは可能だったが、解析できる質のDNAは得られなかった。したがって、固定法、抽出方法、解析方法など、さまざまな条件を試みる必要があった。現在は、腺管分離の方法にて質のよいサンプルを得られる方法が確立されたため、それらの方法を用いてゲノム異常の解析を進めている。当初の予定からやや遅れてはいるが、現在は解析が軌道に乗っているため、今後順調に進むものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
サンプルの調整方法が確立されたため、現在は、複数のサンプルを用いて、非癌部胃炎粘膜を構成する一腺管毎のゲノム異常を全エクソン解析を用いて調べている。今後は症例数を増やし、多数のサンプルを解析することで、ゲノム異常が多く蓄積した腺管を同定する。また、病理や内視鏡像との対比を行うことで、それらの腺管の特徴を明らかにする。さらに、反復して異常を認める遺伝子、ゲノム異常のパターンなどの特徴を解析することで、発癌メカニズムの解析も進める。
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