研究課題
本研究は、補体活性化経路の中でもレクチン経路と 第二経路に注目し、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の病態におけるそれぞれの関連を、ヒトNAFLD患者の血清や、 MASP欠損マウスを用いて解明することである。私たちの研究グループはレクチン経路にはMASP-1が、そして第二経路の活性化にはMASP-3がそれぞれ独立して十分な活性化に必要であることを発見、報告した。現在、レクチン経路を欠損しているMASP-1欠損マウス、そして第二経路を欠損しているMASP-3欠損マウスを用いて非アルコール性脂肪肝(NASH)モデルマウスを作成、解析している。MASP-1欠損マウスと野生型マウスを用いた解析では、野生型マウスでは超高脂肪コリン欠乏メチオニン減量飼料を24週間投与したところ高度の肝線維化と脂肪肝が認められた。同様の飼料をMASP-1欠損マウスへ投与したところ、同様に肝線維化と脂肪肝の形成が認められた。肝内の線維組織の面積は野生型マウスと有意な差は認めなかった。現在、超高脂肪コリン欠乏メチオニン減量飼料を24週間投与したMASP-3欠損マウスの解析を進めている。
3: やや遅れている
MASP-1欠損マウス、MASP-3欠損マウスはそれぞれ欠損マウスは出生しにくく、また出生しても死亡してしまうことがあるためモデル作成が遅れている。
MASP-1欠損マウス、MASP-3欠損マウスの交配数を増やして、解析に必要なマウス頭数を確保する。モデル化ができ次第、血清における補体やサイトカイン、そして肝組織における障害や補体沈着の程度を評価することで解析する予定である。現在解析しているモデルは作成に24週かかることから、欠損マウスの作出が遅れる場合はより短期間で作成したモデルマウスを作成して解析を行うことも検討している。
モデルマウスの作成が遅れているため実験に使用する解析機材を購入しなかったため予定の使用額に達しなかった。次年度に検査機材を購入、解析予定である。
すべて 2019
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Journal of Immunology
巻: 203 ページ: 1411-1416
https://doi.org/10.4049/jimmunol.1900605