本研究では補体の活性化因子であるMASP-1とMASP-3の脂肪肝疾患へ対する影響を解明するためにMASP-1欠損マウス、MASP-3欠損マウスを用いた解析を行った。脂肪肝モデルマウスはコリン欠乏高脂肪飼料、メチオニン減量、0.1%メチオニン添加(CDAHFD )食をマウスへ投与することで作成した。投与期間を24週と比較的長期に投与をおこなうことで肝脂肪化と肝線維化へ対するMASPの影響を解析した。肝臓の脂肪沈着をoil-red染色を行うと、CDAHFDを投与した野生型マウスでは高度の脂肪沈着を認めたが、MASP-3欠損マウスでは脂肪沈着は軽減していた。また、血清中のALTはCDAHFDを投与した野生型マウスに比べてMASP-3欠損マウスは低値であった。また肝組織を用いたRT-PCRでは、 COL1A1はCDAHFDを投与した野生型マウスでに比べてMASP-3欠損マウスで低値であった。MASP-1欠損マウスでは有意な変化は認めなかった。腸内細菌叢を解析すると、CDAHFDを投与した野生型に比べてMASP-3欠損マウスはChao1 indexによるRichnessの変化量が少ない傾向を認めた。MASP-1欠損マウス、MASP-3欠損マウスの児が得られにくいため解析が遅れているが、MASP-3は脂肪肝疾患の進展に影響している可能性があると考えられ、apoptosisなどの細胞死の経路、肝内免疫細胞の浸潤の程度、そして脂肪代謝経路との関連を解析を検討している。
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