研究課題/領域番号 |
18K15792
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
小塚 立蔵 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 登録医 (10726657)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | B型肝炎 / エクソソーム / マイクロRNA / 肝発癌 |
研究実績の概要 |
大阪市立大学医学部附属病院に受診したB型慢性肝疾患患者のうち、血清を採取できたのは193例であった。核酸アナログ製剤(NA)投与例は103例、 NA非投与例は90例であった。NA投与例のうち、発癌例は13例、非発癌例は90例であった。NA非投与例のうち、発癌例は49例、非発癌例は41例であった。B型慢性肝疾患193例の血清から、Exoquickを用いて、エクソソーム画分を回収し、miRNeasy mini kitでmiRNAを抽出した。抽出したmiRNAを用いて、miRNAマイクロアレイ(Agilent human miRNA microarray Rel 14.0)にて発現プロファイルの解析を行った。 1)肝線維化進展と相関するmiRNAの同定を行った。B型慢性肝疾患193例のうち、病理組織検査で肝線維化進展度を診断できたのは、169例(88%)であった。肝線維化進展度は、F0/1/2/3/4:8/80/41/24/16例であった。169例のうち、miRNAマイクロアレイ解析が可能であった167例を対象とし、肝線維化の進展に伴って変化するmiRNAを多変量解析で検討したところ、hsa-miR-3648(p=0.028)、hsa-miR-3665(p=0.032)、hsa-miR-122-5p(p=0.0035)、hsa-miR-3960(p=0.011)、hsa-miR-4739(p=0.013)の5つのmiRNAが同定された。 2)NA投与例およびNA非投与例において、いずれも年齢が発癌例vs非発癌例で有意差を認めたため、解析症例の選択を行った。NA投与例(71例)では、発癌例13例vs非発癌例58例で、NA非投与例(67例)では、発癌例40例vs非発癌例27例で解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、肝線維化進展と相関するmiRNAを同定する予定であったが、肝線維化の進展に伴って変化する5つのmiRNA が同定され、当初の計画は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、核酸アナログ製剤(NA)投与群とNA非投与群で、それぞれ肝発癌と相関するmiRNAを同定する予定である。NA投与群とNA非投与群で、発癌例と非発癌例の各々の血清を用いて、miRNAの発現プロファイルをmiRNAマイクロアレイで網羅的に解析し、NA投与群とNA非投与群で、それぞれ肝発癌の有無で変化するmiRNAを同定することを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の学会出席は他の経費から支払ったが、来年度は当助成金を用いることを計画している。また、本年度のmiRNAマイクロアレイ解析の対象症例は、大半が先行実験で用いた検体と重複していたため、当助成金を用いなかった。来年度は追加検体や当初は予定していなかった肝組織でのmiRNAマイクロアレイ解析も計画しており、当助成金を用いて行う予定である。
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