in vivo実験としてヒト肝癌細胞株(HepG2、Huh-7)をnude mouse(BALB/cSlc-nu/nu、6wks)の左右両背部の皮下に3×106個ずつ接種したXenograftモデルを作成し、Sulforaphane(5μmol/day/mouse、以下SFNとする)の経口投与中における腫瘍体積変化を経時的に評価すると同時に、皮下から採取した腫瘍を組織学的に検討した。 両肝癌細胞にて細胞株接種後5週目の腫瘍体積が対照群に比べてSulforaphane投与群では半減していた。腫瘍内のNrf2の標的遺伝子(HO-1、MRP2、NQO1)のmRNA発現をrealtime PCR法を用いて測定するとSFN投与群で上昇していた。細胞周期マーカーの検討からはSFN投与群ではCyclinD1、CDK2の発現が抑制されており、G1arrestが起こっている可能性が示唆された。また免疫組織学的な検討により、SFN投与群ではKi67陽性細胞数が対照群と比較して有意に減少しており、Cleaved Caspase3陽性細胞数が増加していたことから、腫瘍細胞の増殖抑制とアポトーシスの亢進が確認された。さらに腫瘍の増大には血管新生が大きな役割を果たしているので、血管新生の重要な蛋白であるCD34を免疫染色にて評価すると、いずれの細胞においてもコントロール群と比較しSFN投与群で陽性領域の減少を認めた。定量するとSFN投与群で有意に抑制していた。以上まとめると、in vivoにおいてSFN投与によりヒト肝癌細胞株の増殖は有意に抑制しており、アポトーシスの亢進も示唆された。さらに腫瘍内部の血管新生も抑制されていた。 中断再開後は、メカニズムの解明のためin vitroの実験を進めていく予定である。
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