研究課題/領域番号 |
18K15796
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
村上 敬 順天堂大学, 医学部, 助教 (10568158)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | SSAP / serrated pathway / MSI / BRAF / MLH1 / 次世代シーケンシング(NGS) / FBXW7 / TP53 |
研究実績の概要 |
【背景】Sessile serrated adenoma/polyp (SSA/P) を前駆病変とするserrated neoplasia pathwayと称する新たな発癌機構が提唱されている。SSA/P併存大腸癌は、BRAF変異、MLH1のメチル化、microsatellite instability (MSI) などの分子生物学的特徴を有するが、serrated neoplasia pathwayの詳細な癌化メカニズムについてはまだ不明な点が多い。一方、近年の技術の発展により、次世代シーケンシング(NGS)を用いて癌のゲノムを網羅的に解析し、疾患の原因遺伝子を特定することが可能になってきた。しかし、これまでSSA/P併存大腸癌に対しNGS解析を行った報告はない。【目的】NGS解析を行い、SSA/P併存大腸癌の分子生物学的特徴を明らかにすることである。【方法】2014年~2016年に当院にて病理学的にSSA/P併存早期大腸癌と診断された8病変(Tis癌4例とT1癌4例を含む)を対象とし、NGS解析を施行した。【結果】NGS解析で最も高頻度に認めた遺伝子変異はBRAF(7病変)であり、その他FBXW7(3病変)、TP53(2病変)、KIT、PTEN、SMAD4、SMARCB1(各1病変)であった。【結論】serrated neoplasia pathwayはその発育進展にBRAF変異が関与すると考えられた。さらにFBXW7変異、TP53変異が関与する可能性が示唆された。BRAF変異大腸癌は一部では組織学的に悪性度の高い病変として知られており、serrated neoplasia pathwayは今後ますます注目されるであろう。 上記内容を第97回日本消化器内視鏡学会総会(2019年5月)で発表した。またこれらの内容を論文化する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SSA/P併存早期大腸癌と診断された8病変を対象とし、NGS解析を施行し、研究は概ね順調に進行していると考えられる。今後はこれらの病変に対し、免疫染色やMSI解析を行い、NGS解析結果との相関を調べていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後はこれらの病変に対し、免疫染色やMSI解析を行い、NGS解析結果との相関を調べていく予定である。
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