研究課題/領域番号 |
18K15798
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
高野 啓子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (00817207)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 自己免疫性肝炎 / PBC / PSC / miRNA |
研究実績の概要 |
自己免疫性疾患は原因不明の免疫制御機構の破綻により誘導される疾患であるが、消化器疾患においても潰瘍性大腸炎 (UC) とクローン病 (CD) に代表される自己免疫性消化管疾患と、自己免疫性肝炎 (AIH)、原発性胆汁性胆管炎 (PBC)、原発性硬化性胆管炎 (PSC) に代表される自己免疫性肝疾患が存在する。我々はこれらの疾患を自己免疫性消化器疾患と総称することとした。いずれも難治性疾患であるが、これらは類似する病態や疾患のオーバーラップのため診断に苦慮することも多く、その理由として各自己免疫性消化器疾患の診断が一元的な評価が成されていないことに由来すると考えられる。近年、癌をはじめとする様々な疾患において血清microRNA (miRNA) 発現プロファイル解析が行われ、その疾患特異性が徐々に明らかにされてきている。しかし、これまでに自己免疫性消化器疾患を横断的に比較検討した報告はない。そのため本研究では自己免疫消化器疾患の血清miRNA発現を横断的に解析することで自己免疫性消化器疾患を確実に鑑別する新たな疾患特異的血清miRNAマーカーの探索を行う。さらに疾患特異的miRNA発現とその病態との関連性を解析することで早期診断や疾患進展・治療反応性マーカーおよび新規治療標的分子の同定を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
自己免疫性消化器疾患と健常人の血清miRNA発現解析を行うため、自己免疫性消化器疾患ではUC、CD、PBC、AIH、PSCとし、健常人コントロールも合わせて十分なインフォームドコンセントを行い、同意を得た後に血清を採取して検体を採集した。まず今回、我々は自己免疫性肝疾患であるAIHとPBCに着目しmiRNAマイクロアレイを用いて網羅的発現解析を行ったところ、それぞれの疾患で健常人コントロールと比較して有意に発現の高い複数のmiRNAを見出した。現在、これらのmiRNA発現と疾患の臨床病態との関連性について詳細な解析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
見出した複数のmiRNAにおいてmiRNA発現と疾患の臨床病態との関連性について詳細な解析を行う。特に早期診断および疾患進展・治療反応性及び発癌スクリーニング指標となり得るか否かを解析する。またこれらのmiRNAが制御する下流の遺伝子及びsignaling pathwayをBioinformatics解析により明らかにする。 このように病態との関連性を解析することで早期診断や疾患進展・治療反応性、発癌マーカーおよび将来の新規治療法開発に応用が可能となり得るような新規治療標的分子の同定を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
自己免疫性消化器疾患と健常人の血清miRNA発現解析を行うため、自己免疫性消化器疾患ではUC、CD、PBC、AIH、PSCとし、健常人コントロールも合わせて十分なインフォームドコンセントを行い、同意を得た後に血清を採取して検体を採集してきた。 自己免疫性消化器疾患は比較的稀な疾患であることから、有用な解析を行うために十分な検体を収集するのに時間がかかり、実験計画にやや遅れが生じているため、次年度使用分が発生した。
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