研究課題
自己免疫性肝疾患であるAIHとPBCに着目しmiRNAマイクロアレイを用いて網羅的発現解析を行った。AIH 28例、PBC 29例の解析において、診断および疾患進展・治療反応性等の病勢評価スクリーニング指標となりえるmiRNAsを検討した。特にAIHで高値を示すmiRNAs(miR-3196, miR-6125, miR-4725-3 p and miR-4634)4つを同定し、これらはAIHとPBCを高い感度特異度で明確に診断することが可能であった。In situ hybridization法でこれらのmiRNAの局在は、AIH患者の肝細胞細胞質に中等度から高度に発現を認め、さらにステロイド治療によりこれらのmiRNAレベルの低下を認め、組織学的に肝炎活動性と相関することを見出した。自己免疫性肝疾患は総じて難治性かつ進行性の希少疾患である。miRNAはタンパクをコードしない小分子RNAで、mRNAへの翻訳抑制作用により様々な生命現象を制御している。近年、miRNAは機能的分泌や細胞破壊による遊離により血液中に放出され、その発現プロファイルは疾患やその病態毎に異なることが報告されており、早期診断や疾患進展・治療反応性マーカーとしての臨床応用が期待されている。本研究における我々の研究成果により同定されたAIH高値となるmiRNAsは、AIHの診断および病勢評価バイオマーカーとなる可能性を示しており、有益な発見であると考える。
すべて 2022
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BMJ Open Gastroenterol
巻: 9 ページ: -
10.1136/bmjgast-2022-000879