研究実績の概要 |
Hox Transcript Antisense Intergenic RNA (HOTAIR) は2158 塩基からなるlncRNA である。このRNA はHoxC 遺伝子座(12q13.13) から転写され、離れたターゲット遺伝子群を制御することが知られている。 近年、私たちのグループ(PLoS One, 2013; BBRC, 2013, Scientic Reports,2017)を含め、このHOTAIRは癌における予後不良因子としての報告が相次いでいる。肝臓癌を含むほとんどの癌種において、HOTAIR の発現上昇と予後不良は有意な相関をもつが、なぜHOTAIRが癌の悪性度を高めるのか、その分子機構はよくわかっていない。これまでに、細胞株を用いた実験によって、polycombタンパク下流シグナルからEMT(Epithelial-Mesenchymal Transition)の機序を介して浸潤能を上昇させるとの報告が散見されている。しかし、細胞株および癌種の違いによって、この下流シグナル群の中には正反対の動きをする報告も多い。 最近、癌組織周囲の免疫系が、癌の進展に大きな影響を与えることが注目されている。TAM (tumor associated macrophage) やMDSC(myeloid derivedsuppressor cells)といった細胞集団が、癌周囲の免疫反応を抑制したり、転移浸潤を補助することによって、癌の悪性度を高めることが知られている。 本年度は、HOTAIRの他にも着目すべきnon-coding RNAをデータベースを用いて絞り込んだ。HCC患者のRNAseqデータを検索した結果、複数の遺伝子を候補とし、ノックダウン細胞を作成して機能解析を行った。
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