研究実績の概要 |
肝細胞癌の再発や転移のリスクや予後を評価する上で、「癌細胞側の因子」 と「腫瘍免疫側の因子」を検討する必要がある。「癌細胞側の因子」としてnon-coding RNA (microRNA や long non-coding RNA)の重要性が示されてきており、一方で「腫瘍免疫側の因子」として、単球・マクロファージや骨髄球系細胞と いった抑制系免疫細胞の重要性が示されてきているが、「癌細胞側の因子」と「腫瘍免疫側の因子」との関連については不明な点が多い。本検討では肝細胞癌のnon-coding RNAに着目し、腫瘍免疫動態にどのような影響を及ぼすかを明らかにすることを目的とする。 https://portal.gdc.cancer.gov/のデータを用いて、ヒト肝細胞癌のnon-coding RNAの発現を調べた。long non-coding RNAであるSNHG6、SNHG8、SNHG5がヒト肝細胞癌において高発現していることを見出した。上記RNAのプライマーを作成し、代表的な肝細胞癌株(HepG2、Hep3B、Huh7S、Li7)での高発現を確認した。 SNHG5, 6, 8に対するsiRNAをもちい、同発現を抑制した肝細胞癌株を作成し、末梢血リンパ球と共培養したのちフローサイトメトリーを行うことで、ある種の抑制系免疫細胞の割合が変化していることを認めた。現在、メカニズムについての検討を行っている。 肝細胞癌に対して分子標的薬および免疫チェックポイント阻害薬で治療を行なっている肝癌組織の遺伝子変異と癌由来cell-free DNAの遺伝子変異の相同性ならびに治療前後でのcell-free DNAの遺伝子変異モチーフの変化についてex vivoでの検討を行った。TERT promoter、CTNNB1、TP53の3領域の遺伝子変異を調べた。現在、症例を蓄積している。
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