研究課題
2018年度は、HCC患者血清中のBMP9を測定し、BMP9の血清バイオマーカーとしての意義を明らかにした。また、ヒトHCC培養細胞株を用い、BMP9投与によるEpCAM陽性細胞集団の増加、BMP9シグナル分子ならびに幹細胞マーカーの発現亢進、癌浸潤能、遊走能の亢進を確認した。2019年度は、BMP9とその標的遺伝子であるID1が、EpCAM陽性肝癌の癌幹細胞性を促進する事を明らかにした。さらに、BMP9-ID1シグナルを抑制するBMP受容体阻害剤の効果を検討した結果、BMP9-ID1シグナル抑制により、EpCAM発現や細胞増殖能、浸潤能、遊走能といった癌幹細胞性が低下し、細胞増殖が有意に抑制される事を明らかにした。これらの結果を踏まえ、2020年度は、BMP9-ID1によるEpCAM陽性癌幹細胞性促進の機序を詳細に検討した。HCC細胞株を用いた実験により、BMP9-ID1は、EpCAMの制御シグナルとして知られるWnt/βカテニンシグナルを活性化する事が明らかとなった。ID1によるEpCAMプロモーターへの直接作用は認めない事から、BMP9-ID1はWnt/βカテニンシグナルの活性化を介して、EpCAM陽性肝癌の癌幹細胞性を促進する事が明らかとなった。2020年度はさらに、これまでに得られた知見をまとめ、Molecular Oncology誌に投稿し論文掲載が受理された(2021年度に掲載予定)。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
Molecular Oncology
巻: none ページ: none
10.1002/1878-0261.12963