本研究で我々は、肝細胞癌患者血清中のBMP9値が患者予後に関連する血清バイオマーカーである事を明らかにした。肝がん細胞株を用いた実験により、BMP9はその標的遺伝子であるID1とともに、Wnt/βカテニンシグナルの活性化を介して、EpCAM陽性肝がん幹細胞を活性化する事が明らかとなった。さらに、肝がん細胞株ならびに肝がん移植マウスモデルを用いBMP受容体阻害剤の有用性を検討した結果、BMP9-ID1シグナルを阻害する事で、BMP9による誘導されるEpCAM陽性肝がん幹細胞の活性化が抑制され、細胞増殖や浸潤・遊走といった肝がん悪性形質が有意に抑制される事が明らかとなった。
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