A) 複数のNAFLD/NASHモデルを用いたそれぞれの病態特徴の比較、およびヒトNAFLD/NASHの臨床的特徴と病理組織学的所見にて比較検討した。 a) NAFLD/NASHモデルの作成: C57/BL6 に、chow diet(コントロール群) と通常の高脂肪食(HFD)、MCD 食を与えたモデルと、遺伝子組換えモデルdb/db マウス、自然発症NAFLD(STAM)。 b) マウスモ デルは、肝障害、脂肪化、線維化の程度を血清、肝パラフィン切片、肝凍結切片を用い、血清肝酵素レベルやNASHスコアや免疫 組織染色法、qPCRを用いて比較検討し、それぞれの病態を比較検討し、ヒトNASHとの病態病期と比較した。肝障害は、HFD、db/db、MCD、STAMの順に強くなり、STAMマウスに関しては肝腫瘍を認め、担癌状態にまでなった。 B) 複数のNAFLD/NASHモデルを用いたMCT混餌投与による NAFLD/NASH改善効果を検証した。上記 A)a)のマウスモデルの脂肪成分 を MCT に置き換えた高脂肪食を継続的に投与し病態と投与効果を検討し、複数モデルでMCTのNASH予防効果を認めた。特にHFDにMCTを加えた群では優位にNASHの予防効果を認めたが、MCDでは障害が高度であり、優位な抑制効果は得られなかった。 C) NAFLD/NASHの抑制効果と肝発癌抑制効果を明らかとする。上記 B)で効果の得られたマウス デルを選択し次世代シークエンス技術を用いて、それぞれの遺伝子発現の観点から横断的にトランスクリプトーム解析にて行い、関連遺伝子とPathwayの同定を行なった。炎症性サイトカインや脂肪生成・分解の経路に偏位を認め、いくつかの関連遺伝子mRNAとmiRNAの候補を同定し、検証実験を行なった。
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