本研究では治療抵抗性の炎症性腸疾患の腸管T細胞を解析し、病態に寄与するT細胞を同定した。マスサイトメトリーとシングルセルRNA-seq解析により、炎症性腸疾患において増加するT細胞サブセットの遺伝的特徴を明らかにした。潰瘍性大腸炎では循環型のナイーブT細胞が増加するのに対し、クローン病においては組織局在性の自然免疫細胞様の遺伝学的特徴を持つT細胞が増加していた。さらにこの細胞は病変部位に集積し、炎症性サイトカインを分泌することから病態を惹起するT細胞であると考えられた。以上のように、複雑に絡み合う腸管免疫の中で炎症性腸疾患の病態形成に関与する獲得免細胞を同定し、特性を明らかにすることができた。
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