研究課題/領域番号 |
18K15819
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
小泉 光仁 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師(病院教員) (40748307)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 膵癌 / ASC |
研究実績の概要 |
膵癌に対する分子標的治療薬が開発されているが、その治療効果は十分ではなく新しい治療ターゲットの確立が必要である。本研究では炎症の中心的役割を果たすタンパク質複合体であるインフラマソームとその重要な構成たんぱくであるapoptosis-associated speck-like protein containing a CARD(ASC)に着目した。 ヒト膵上皮様細胞株hTERT-HPNE、ヒト膵癌細胞株PANC-1、ASPC-1、BXPC-3でASCのPCR,Western Blotを行った。癌化していない膵上皮様細胞株hTERT-HPNEではASCのタンパク発現はみられず、複数の膵癌細胞株(PANC-1,ASPC-1,BXPC-3)においてASCのタンパク発現がみられた。次にリポフェクション法を用いてPANC-1にsiRNAを導入してASCを十分に抑制できることを確認した。siRNAを用いたASCの発現抑制によりコントロールと比較してPANC-1の細胞数が減少がみられた。さらにほかの膵癌細胞株(ASPC-1、BXPC-3)においてもPANC-1と同様にASCの発現抑制により細胞数の減少がみられた。 これらの結果より膵癌細胞においてASCは細胞数増加に寄与していると考えられた。今後さらに膵癌細胞の細胞数変化にかかわるASCの分子メカニズムついて研究を進めていく必要があるが、本研究の結果は膵癌においてインフラマソーム・ASCを標的とした新しい治療法の確立につながる可能性があると考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は複数の膵癌細胞株(PANC-1,ASPC-1,BXPC-3)においてsiRNAを用いたASCの発現抑制によりコントロールと比較して細胞数が減少することを確認できた。またメカニズム解析のためのRNA-seqを行っており、現在そのデータを解析中である。メカニズムの解析により更なる研究の進展が期待できるため。
|
今後の研究の推進方策 |
RNA-seqにより得られたASC発現抑制により変化する遺伝子データの解析を行い、細胞数の変化にかかわるメカニズムを明らかにする。 そして膵癌症例におけるインフラマソーム・ASC分子発現と腫瘍臨床像との関連の検討を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
RNA-seqで得られた結果をもとにASCの役割を解析中であり、得られた結果を検討する実験を次年度に行うため。
|