研究課題/領域番号 |
18K15825
|
研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 悠地 岩手医科大学, 医学部, 助教 (00779332)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 再生医療 / 急性肝障害 / 肝再生 |
研究実績の概要 |
初年度に20例の急性肝障害患者の末梢血Multilineage-differentiating Stress Enduring Cell(以下、Muse 細胞)の測定を行なった。Muse細胞は、末梢血単核細胞中のSSEA-3陽性細胞として測定した。各症例に対して入院0病日、3病日、5病日、7病日、30病日の合計5時点でMuse細胞の動員を評価した。その結果、20例中16例の症例で、臨床経過中に末梢血Muse細胞が一過性に上昇することが明らかとなった。また、治療経過中に採取した肝臓生検組織を用いて、肝内のMuse細胞の有無を評価した。その結果、肝生検組織が得られている5例すべてで、肝内にSSEA-3陽性のMuse細胞が存在することが分かった。 今後、急性肝障害患者の末梢血に動員されたMuse細胞が肝細胞への分化能を有するか検証を行う。末梢血Muse細胞のフローサイトメトリーでの回収プロトコールならびに、肝障害モデルマウス作成の条件検討はすでに終了した。急性肝障害患者から回収した末梢血Muse細胞の肝障害モデルマウスへの異種移植実験を開始している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
急性肝障害の症例集積ならびに末梢血Muse細胞の測定が順調に進んだため。また、末梢血Muse細胞回収用のフローサイトメトリーでのソーティングプロトコールの条件検討ならびに、移植実験に用いる肝障害モデルマウスの作成が完了したため。
|
今後の研究の推進方策 |
平成31年度は、急性肝障害で動員された末梢血Muse細胞が肝の組織修復に寄与するかということに重点を置いて検討を進める。具体的には、末梢血Muse細胞をフローサイトメトリーでソーティングし、肝障害モデルマウスに異種移植する。その後、マウス肝臓内に、ヒト細胞由来の肝細胞や胆管細胞などの肝臓の構成細胞の有無を免疫染色や遺伝子発現解析で評価する。また、急性肝障害末梢血に動員されるMuse細胞の機能解析をin vitroでも検証していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
フローサイトメトリーによるセルソーティングのプロトコール確立と、肝障害モデルマウスの作成が順調に進んだため、予定よりも費用を若干節約できた。一方で、委託検討の予定としていた、血中のMuse細胞遊走因子の測定は翌年度の測定に繰り越していたため、次年度使用額は委託業務の費用に使用する。
|