我々は原発性胆汁性胆管炎(PBC)の免疫動態を分子生物学的手法により解析してきた。これにより、PBCではN-Ras発現亢進を伴うT細胞の活性化と、IFN-γを中心としたTh1サイトカイン産生が亢進することが示された。そして、N-RasがPBCの免疫制御分子になりえることが示された。しかし、PBCとN-Ras発現の病態関連において、その普遍性と特異性の解析が不十分であった。そのため、PBCのN-Ras発現の再現確認を行った。また、PBCの治療候補薬剤の選出のため、Ras阻害剤のTh1サイトカイン産生への抑制能を比較した。これにより、PBCの病態の一端を明らかにし、新規治療法への基盤を確立した。
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