研究実績の概要 |
生活習慣の変化に伴い、国内にはNAFLD/NASHの人数は急増している。NASHの病態にはオートファジー機能異常及び小胞体ストレスが深く関連しており、異常蛋白蓄積がNASHの進展に関与していると考えられている。小胞体ストレスは肝脂肪化との悪性サイクルを形成し、インスリン抵抗性をも増悪させ、さらなるNASH悪化を引き起こす事が報告されている。我々は、Mallory-Denk Body(MDB)がオートファジーの分解器質であるp62蛋白を含む凝集体であり、プロテアソームの阻害剤で再現できる事、オートファジーの亢進でMDBが減少する事を報告した(Harada M, Hepatology, 2008)。また、飽和脂肪酸が小胞体ストレスを惹起し、オートファゴソームとリソソームとの融合段階を阻害する事を報告した(Miyagawa K, Am J Pathol, 2016)。 我々はタプシガルジン、ツニカマイシン、ピュロマイシンを培養細胞であるヒト不死化肝細胞培養株(OUMS-29)及びヒト肝癌培養細胞株(Huh-7)に負荷し、小胞体ストレスが生じることを確認した。いずれも1μM以上の濃度、及び12時間以上の負荷でいずれの培養細胞でも確認した。また、mRFP-GFP-LC3やautophagic fluxによる検討では、タプシガルジンではオートファジーの後期段階の障害をみとめ、ツニカマイシン、ピュロマイシンではオートファジーの促進を認めた。また、小胞体ストレス誘導剤によるMDB形成の有無を検討したところ、単独でのMDBの形成を認めなかった。また、他の薬剤を付加した際の小胞体ストレス及び酸化ストレスに関して検討追加した。糖単独を小胞体ストレス誘導剤に負荷した際に、小胞体ストレスの増悪を認めた。
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