生活習慣の変化に伴い、国内にはNAFLD/NASHの人数は急増している。NASHの病態にはオートファジー機能異常及び小胞体ストレスが深く関連しており、異常蛋白の蓄積がNASHの進展に関与していると考えられている。小胞体ストレスは肝脂肪化との悪性サイクルを形成し、インスリン抵抗性をも増悪させ、さらなるNASH悪化を引き起こす事が報告されている。 本研究では、タプシガルジン、ツニカマイシン、ピュロマイシンを培養細胞であるヒト不死化肝細胞培養株(OUMS-29)及びヒト肝癌培養細胞株(Huh-7)に負荷し、小胞体ストレスが生じる事を最初に確認した。いずれも1μM以上の濃度、及び12時間以上の負荷で、いずれの培養細胞でも小胞体ストレスが生じる事を確認した。また、mRFP-GFP-LC3やautophagic fluxによる検討では、タプシガルジンではオートファジーの後期段階の障害をみとめ、ツニカマイシン、ピュロマイシンではオートファジーの促進を認めた。また、小胞体ストレス誘導剤単独でのMDBの形成を認めない事を明らかにした。 また、NAFLD/NASHは、糖尿病患者に合併する事が多いが、糖単独での肝細胞へ与える影響は不明である。そのため、OUMS-29及びHuh-7に高濃度の糖を負荷し、濃度及び時間依存性に小胞体ストレス及び酸化ストレスが生じる事を認めた。また、化学シャペロンおよび抗酸化剤を投与する事で、小胞体ストレスと酸化ストレスが軽減した。また、糖単独でも、アポトーシスを誘導した。また、高濃度の糖に小胞体ストレス誘導剤を併用したところ、小胞体ストレスの増悪を認めた。
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