研究課題
若手研究
MYCNを標的とした創薬研究と新規肝がんバイオマーカーとして有用性の評価を行った。1)網羅的オミクス解析により、MYCN高発現肝がん細胞では不飽和脂肪酸の代謝が亢進し、その増殖は不飽和酵素阻害剤により特異的に抑制された。2)日本、台湾およびヨーロッパのコホート研究では、MYCNの発現は、非がん部より肝がん組織において有意に高い、術後の肝がん再発率との正の相関がみられた。2)血清中エクソソームにMYCNタンパク質発現が検出できた。肝がん患者の血清中MYCN量は健常人に比べ有意に高い、外科切除後に有意に減少した。MYCNは、新規肝がんバイオマーカー並びに創薬標的として有用であることを示唆した。
消化器内科学
医療技術の進歩により、がん全体の死亡率が低下しつつある中、肝がんは逆に死亡率が増加しているがんの1つである。日本において、肝がんの年間罹患数が約40,000人であるのに対し、年度死亡数は約30,000人であり、極めて死亡率の高いがんである(Hori et al. Jpn J Clin Oncol 2015)。本研究の成果とした血中MYCNを指標とした肝がんの診断や予後・薬効予測バイオマーカーを活用し、患者さんの予後の改善につながることを願っている。