研究課題
心筋炎は未だ予後不良である拡張型心筋症の原因となりうることが知られている。ナチュラルキラーT(NKT)細胞は、炎症惹起・抗炎症性サイトカインのバランスを調整する「炎症調整細胞」として機能している。本研究は、NKT細胞の心筋局所での機能低下が心筋炎の進展に重要な役割を果たしており、NKT細胞を活性化することで心筋炎のおよび心筋援護心筋症の発症・進展が抑制できるという仮説を検証し、その新規治療法を開発することを目指すものである。本年度は実験的自己免疫性心筋炎モデルマウスの作成に取り組む一方で、同様に心筋炎症を惹起する薬剤性心筋傷害モデルにおけるNKT細胞の果たす役割について検討した。実験的自己免疫性心筋炎モデルについては作成したモデルが安定せず、詳細な条件を検討しながら引き続き安定したモデルマウスの作成を継続していく。一方、薬剤性心筋障害モデルにおいては、ドキソルビシン誘発性心筋障害マウスモデルにおいて、NKT細胞を特異的に活性化するαーガラクトシルセラミドを投与することで、心筋障害の伸展が抑制できることを新たに見出した。また、その過程においてT細胞やマクロファージなどの炎症細胞が関与しており、IL-4やIL-10などのTh2サイトカインがその抑制に重要な役割を果たしていることも確認された。引き続き、実験的自己免疫性心筋炎モデル作成に取り組むとともに、心筋炎症におけるNKT細胞の関与についての検討を行う。
3: やや遅れている
心筋炎症が関連する薬剤性心筋障害モデルにおいてNKT細胞を活性化することにより心筋障害が抑制できることを見出した一方で、実験的自己免疫性心筋炎モデルの完成には至っていない。
引き続き、実験的自己免疫性心筋炎モデルの作成に取り組む。また、薬剤性心筋障害モデルマウスにおいては病理学的および免疫学的手法による解析を引き続き行い、NKT細胞活性化による心筋障害の抑制の分子生物学的メカニズムの解析に取り組む。また、学会活動などでその成果を公表する。
安定した実験的自己免疫性心筋炎モデルの作成に至っておらず、実際の分子生物学的機序解析にまで進行していない。次年度さらなる解析に使用する。
すべて 2019 2018
すべて 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件) 産業財産権 (1件)