データセットを更新の上、性別、年齢別に随時血圧、朝晩の家庭血圧の分布を整理した。また、小児の高血圧及びelevated blood pressureの定義を米国小児科学会の2017年のガイドラインに基づき、性別、年齢別、身長別にそれぞれ95パーセンタイル値以上、90パーセンタイル値以上として特定した。また、対象児の父母の降圧薬使用状況を縦断的に実施した調査票調査から整理し、セルフレポートの高血圧既往歴とともに高血圧として定義をして、小児の血圧に対する関連要因を多変量解析にて検討した。さらに、本人の母子健康手帳や調査票から、栄養状態の指標を検討した。 性・年齢別に20人以上の血圧値が求められたのは、随時血圧では男女共に8-14歳、家庭血圧は男性8-11歳、女性8-10歳であった。多変量解析の対象とした8-9歳の916人の収縮期血圧平均値は106.4mmHg、拡張期血圧平均値は64.8mmHgであった。小児の高血圧及びelevated blood pressureはそれぞれ99人(10.8%)、162人(17.7%)であった。多変量解析の結果、高血圧及びelevated blood pressureそれぞれに本人のbody mass index及び血圧測定時心拍数が関連していた他、高血圧に対しては母親の高血圧既往が関連していた。一方で、父親の高血圧既往は関連が認められなかった。父親については、参加率が母児より低く、情報がない方が多いことも影響していると考えられる。また、本人の低出生体重や早産についても関連が認められなかった。 また、小児の循環動態として心電図の指標を用いた解析も継続して、論文執筆を進めた。
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