①UCP-1ペプチドアジュバントインジェクションマウスモデル (WT UCP1(+)) 血管周囲の褐色脂肪組織に炎症を誘導し、自己免疫性褐色脂肪組織炎マウスモデルを作成する。BALB/cマウスにFreundアジュバントとUCP-1ペプチドを混合したものを皮下注射し、4週間後に血管の組織を病理学的に評価した。 ②変異型MLXノックインマウス (MLXKI) 褐色脂肪組織中に多く存在するMLX遺伝子の変異が血管炎に関与しているかどうかの検討として、CRISPR/Cas9によるゲノム編集技術を用いてMLX-Q139Rノックインマウスを作成した。無刺激で飼育し、他のモデルマウスと合わせて13週ころの血管について病理学的評価を行い、自己免疫性褐色脂肪織炎モデルマウスと同週令の野生型BALB/cマウスの血管をHE染色で染色した後、断面積をimageJで測定し比較した。自己免疫性褐色脂肪織炎モデルマウスでは野生型マウスと比較して、血管断面積が有意に増大した。(WT vs WT UCP1(+) : mean 82225 µm2 vs 158336 µm2 : p < 0.05)HE染色の標本では血管周囲の褐色脂肪組織の増大、血管壁肥厚、リンパ球の浸潤という特徴がみられた。 結果:刺激を行っていない変異型MLXノックインマウスの血管断面積は野生型と比較して有意に増大していた。(WT vs MLXKI: mean 82225 µm2 vs 127342 µm2 : p < 0.05)HE染色の標本では、血管壁は肥厚しており、リンパ球の浸潤や弾性繊維の断裂を認め、血管周囲のリンパ節腫大も認めた。CRISPR/Cas9で作成した変異型MLXノックインマウスは、13週のメスマウス同士を比較したところ野生型マウスと比較して体重が減少しており(WT vs MLX-KI : mean 23 g vs 19 g : p < 0.01)、血管周囲の褐色脂肪組織の増大、大動脈弁組織の肥大、小腸パイエル板の肥厚、大腸平滑筋の腫大という身体的特徴がみられたが、寿命や出産に大きな影響はなかった。
|