高齢化により心不全罹患患者数は今後なお増加し続けると考えられる。至適治療により心機能が回復するリバースリモデリング症例から補助人工心臓装着や心移植を考慮しなければならない不可逆症例までその病像は多岐に渡るが、適切かつ迅速な治療方針の選定に繋がる十分な予後予測マーカーは未だ確立されていない。 我々はこれまで、電子顕微鏡病理像を用いた心筋細胞核クロマチン微細構造の評価法を新規に開発し、その評価法で得られた新規指標が重症拡張型心筋症患者において従来の心不全臨床指標とは相関を認めず、独立した予後予測指標となる可能性があると報告している。 本研究は、対象疾患を他の心筋疾患も含めた左室駆出率35%以下の心不全症例に拡大し解析症例数を増やして、新規指標の予後予測検出力を評価・確立することを目的とする。 心筋症心不全患者から採取した右室心筋検体を用いて電子顕微鏡病理処理および病理画像イメージング解析を行い、心筋細胞核クロマチン形態(核膜クロマチンの連続性など)に特に着目して核形態分類を進めている。患者背景因子および各臨床指標の収集を行い、核形態と心筋生検12ヶ月後のリバースリモデンリングとの相関の有無について解析を継続している。 2018年8月13日から2021年3月31日まで出産・育児のために休職中であり、研究を中断している。次年度には、引き続き症例数を増やし、新たに収集した臨床指標を含めて検討を行っていく予定である。
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