研究課題/領域番号 |
18K15864
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
村上 力 東海大学, 医学部, 助教 (60631843)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | たこつぼ型心筋症 / 男女差 / ストレス応答 |
研究実績の概要 |
男性の方が女性より院内心合併症が多いと疫学研究から明らかにされており、その機序について自律神経系、内分泌系、心筋遺伝子発現について検討を行い男女差を比較することでたこつぼ型心筋症の病態解明に繋げることを目的としている。内分泌系における差異については男女差の差異は認められていない状況である。現時点ではストレス応答に違いがある検討しており、急性期に壁運動低下をしている左室から心筋生検を行い、HE染色、遺伝子発現について検討を行った段階である。HE染色において男性の方が心筋障害が強く、収縮帯壊死を多く認められた。 遺伝子発現においては、マイクロアレイ解析を行い、DAVIDにより発現変動の大きい遺伝子をKEGGとGOにより抽出を行った。男性の場合、KEGGパスウエイ解析により、metabolic pathwaysなどが女性よりも上昇が認められた。さらに、細胞呼吸に重要なmitochondrionの変化も大きいことが確認された。一方女性では、KEGGパスウエイ解析により、ECM-receptor interactionの発現の変化が確認できた。特に、基底膜の構成分子であるコラーゲン、プロテオグリカン、ラミニンの発現の違いが確認された。さらに、細胞接着に重要な役割を果たすインテグリンサブユニットの発現レベルの変化も確認された。また、GO解析では、膜の構成要素に関連する遺伝子が女性、男性ともに発現変動が高いことが確認された。 これらの発現変動比の違いから男性が重症化する要因の一つが確認出来るのはと現時点では考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ストレスを契機に発症するたこつぼ型心筋症であるが、ストレスがかかった人全員が発症している訳ではもちろんない。ストレス応答の差異において発症、重症化しているのではないかと考えている。心筋生検による、心筋障害の程度、遺伝子発現量の差異が臨床的には合致するかどうか今後も検討していく。
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今後の研究の推進方策 |
たこつぼ型心筋症は急性冠症候群の2%程度の割合と非常に稀な疾患であり、心筋生検を施行出来る機会が限られているのが現状である。付属八王子病院、大磯病院にも登録をお願いし、症例数の確保に努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
①繰越金が発生した理由 たこつぼ型心筋症急性期の心筋検体の検査費に使用予定であったが、たこつぼ型心筋症自体の登録が少なかったため繰越金が発生しました。 ②次年度の使用計画 検査費、学会参加費、論文投稿に対する使用を主に考えております。2020年度請求分+繰越金は1,690,000円+137,582円となります。
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