持続性心房細動に対するカテーテルアブレーション治療成績は発作性心房細動に対し劣るが、発作性心房細動と同様に肺静脈隔離が効果的な例も確かに認められる。肺静脈隔離術だけでは不十分となる例と混在しているが、どういった例に肺静脈隔離術が有効かはいまだ明確でない。本研究は持続性心房細動例において、初回アブレーション時にまず心内除細動を行い、Immediate recurrence of atrial fibrillation; IRAFの有無を評価し、2群(IRAF例、非IRAF例)に分けアブレーション後の長期治療成績を比較することを目的した。 目標症例数を超えるIRAF62例非IRAF251例の計313例を登録し評価を行った。初回治療後は2群間で再発率の差を認めなかったが、2回治療を含めた最終洞調律維持率はIRAF群92% vs. 非IRAF群75%でIRAF群で再発が有意に少なかった(log rank P<0.01)。IRAF群では肺静脈隔離術のdurabilityの重要さが示唆される結果となり、持続性心房細動例においても、発作性心房細動同様に肺静脈隔離術が有効な症例の層別化に繋がる所見と考えられた。 この結果は途中経過を含め日本循環器学会学術集会や米国で開催されたHeartRhythmにていずれも英語で発表され、現在論文執筆中である。 本科研費で購入した携帯心電計、パーソナルコンピュータ、参考文献図書を用いて、本年度において①未指摘心房細動例における心房粗動治療例の心房細動発症の予測因子について、②心房細動アブレーション治療中の合併症およびその予測因子について、③心房細動アブレーション治療時におけるコンタクトフォース有無での治療成績をそれぞれ研究、明らかにしているが、特に①は本研究に先駆けて英語論文が受理されている。
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