研究課題/領域番号 |
18K15866
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
山内 洋平 大阪医科大学, 医学部, 助教 (30734587)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 急性冠症候群 / 壁ずり応力 / 冠動脈CT / 数値流体力学 |
研究実績の概要 |
急性冠症候群(ACS)は突然死を来す重篤な疾患である。 治療技術の向上によりACSを発症した患者の予後は改善したが、厳重な動脈硬化のリスク管理にも関わらず、急性冠症候群を発症する患者は増加している。冠動脈疾患のスクリーニングとして、冠動脈CT(CCTA)や心筋SPECT、心臓MRI(CMR)といった様々なImaging modalityが用いられるが、ACSは冠動脈の狭窄度に起因せず、プラークの破綻から発症する。そのため現在行われているスクリーニング検査ではACSの発症を予測することは困難とされる。 冠動脈に及ぶ動脈硬化性プラークの進展・破綻には、血管内超音波(IVUS)や光干渉断層法(OCT)などカテーテルを用いた侵襲的方法による検討により冠動脈壁に加わる圧力とされる血管ずり応力(wall shear stress: WSS)の関与が示唆されている。そのため、WSSはACSを引き起こす因子として注目されている。近年、冠動脈CTを用いた数値流体解析(Computed Fluid Dynamics: CFD)により、非侵襲的に冠動脈内における流体力学を評価することが可能となり、冠血流予備能比(FFR)やWSSの計測が可能となった。本研究の目的は、冠動脈CTにおける形態学的評価、プラーク性状評価に加え、FFRによる生理学的評価、WSSによる血行力学的評価を組み合わせたMulti-functionalな観点から、急性冠症候群発症の関連因子を同定し、リスク層別化を行うことである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2012年以降に冠動脈CTを施行され、冠動脈CT検査施行後に急性冠症候群を発症した症例を対象として症例選択を行った。当院において、2008年12月より320列CT装置が導入されていたことから、対象症例の期間を延長して、症例数を拡大しているためやや遅れ気味で進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
当該研究における対象症例は、現時点で当初予定していた30例以上の対象症例が収集できている。 次年度は、CFD解析を委託する企業と解析方法につき協議を行い、解析が可能な症例を選定した後、解析の依頼を行っていく。解析に際し、除外された症例などにより予定していた症例数に達しない場合は今年度に引き続き、カテーテルデータベースから対象となる症例を収集し、症例数の拡大を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度の受託解析費用に使用するため。
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