正常心、肥大心を用いて、(1)灌流心での正常心、肥大心とそれぞれの虚血心における膜電位光学マッピング法の実験、(2)それぞれの灌流心における催心室性不整脈の検討、(3)免疫沈降法を用いたリン酸化CaMKIIとSKチャネル複合体の検討を行った。 (1)摘出灌流心を低酸素/無グルコースTyrode液に変更することで急性全虚血心を作成した。左室心尖部から300 msのペーシングサイクル長でペーシング(出力:閾値の2倍)し、活動電位波形の記録を行った。【結果】いずれの心臓モデルでも虚血時間の進行に伴い、活動電位持続時間(APD90)の短縮を認めた。その短縮度は正常心より肥大心で増大していた。 (2)摘出灌流心を上述の方法で全虚血とし、虚血中に自然発生する心室性不整脈を記録した。頻脈性心室不整脈が10秒以上継続するものを持続性心室不整脈と定義した。虚血中は左室心尖部から300 msのペーシングサイクル長でペーシング(出力:閾値の2倍)を行った。【結果】虚血30分以内には正常心、肥大心ともに持続性心室性不整脈を認めたが、肥大心では統計学的有意に虚血から持続性心室性不整脈までの時間が短縮していた。 (3)正常心、肥大心におけるリン酸化CaMKIIとSKチャネルの相互作用を確認するために、抗リン酸化CaMKII抗体で免疫沈降した検体に各抗SKチャネル抗体で免疫ブロットを施行した。【結果】肥大心においてSKチャネルのアイソフォームのうちSK2チャネルでのみリン酸化CaMKII抗体で免疫沈降した検体に反応した。
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