研究課題
若手研究
冠攣縮性狭心症の発症機序を解明するため、血管平滑筋細胞におけるβアレスチンの役割に焦点をあてて研究を行った。βアレスチン1をノックダウンした血管平滑筋細胞では、冠攣縮を誘発する物質、アセチルコリンに対する細胞内のカルシウム濃度の上昇が亢進していた(一般に細胞内カルシウム濃度の上昇は平滑筋の収縮を亢進させる)。逆に、βアレスチンを過剰発現させた場合、アセチルコリンに対する細胞内カルシウム濃度の上昇が低下した。以上より、βアレスチン1は冠攣縮に対して抑制的に作用している可能性が示唆された。
循環器内科学
冠攣縮性狭心症は日本人に多い疾患で、典型的には朝方の安静時胸痛を特徴とし、時に若年性の突然死の原因となる。冠拡張薬の内服により症状が改善することが多いが、少なからず難治例も存在し、対症療法であるため、内服薬を中断すると再発する。また、病因も未だ解明されていない。今回、我々は冠攣縮性狭心症の発症機序にβアレスチンが関与している可能性を明らかにした。この疾患におけるβアレスチンの役割が解明されることによって、将来的には新薬の開発の一助となる可能性がある。