研究課題/領域番号 |
18K15878
|
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
佐藤 和奏 秋田大学, 医学部, 寄附講座等教員 (50748283)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 頸動脈プラーク / 心臓交感神経機能 / 血圧変動 / 心不全 |
研究実績の概要 |
本研究では、頸動脈内膜剥離術によって頸動脈プラークを摘出することにより、交感神経機能、血圧変動、心機能が改善し、心不全治療につながることを証明することを目的としている。2019年3月時点で頸動脈内膜剥離術を施行された21例を対象として解析を行った。MIBG心筋シンチグラフィ、24時間心電図で評価した心臓交感神経機能は、いずれも術後に有意に改善していた。血圧変動に関しては予想と少し異なる結果となり、評価方法の見直しをしている段階である。左室収縮能に関しては術後変化はなかったが、左室拡張能、左房圧は術後に改善する傾向を認めた。本研究成果については、2019年3月に日本循環器学会総会で報告した。本結果は術前と術後3か月の時点を評価対象としているが、長期的な追跡も必要であると考えている。一方、新規超音波技術であるSuperb Microvascular Imaging (SMI)を用いて頸動脈評価を行う研究を同時進行で進めており、本研究と同様に内膜剥離術を施行した頸動脈狭窄症例9例と、高安動脈炎症例10例を、2019年3月時点で対象としている。頸動脈狭窄症の頸動脈プラークにおいて、不安定性を示唆するプラーク内新生血管を、SMIを用いて可視化し、これを病理標本とも比較してプラーク内微小血管の存在を確認した。こちらに関しては現在論文作成中である。また高安動脈炎症例において、PET-CTのFDG集積に一致する部位に頸動脈壁内新生血管をSMIを用いて証明した。こちらに関してはEuropean Heart Journal Cardiovascular Imagingに症例報告として投稿し、2019年1月受理となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始時と臨床状況が変化して頸動脈内膜剥離術を当院で施行する機会が少なくなったため、症例数が集まりにくくなってきた。そのため、対象症例を長期的に追跡することを現在試みている。また、同様の頸動脈病変を有する症例を対象に、新規超音波技術を用いて同時進行で進められる研究を現在行っている。いずれも既存の装置で保険診療の範囲内で研究を行うことが可能である。臨床統計の手法に関して、岩手県花巻市で行われている大迫研究に参加して学んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、本研究の結果を取りまとめて論文発表することを目標とする。ひとつは、頸動脈内膜剥離術によって頸動脈プラークを摘出することにより、交感神経機能、心機能が改善し、心不全治療につながることを公表する。また、新たに始めたSMIでの頸動脈病変評価の臨床応用のデータを蓄積して、こちらも論文作成して公表することを目標とする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度は既存の物品で対応できたため初期費用としての物品費がかからず、繰り越し分は次年度の物品費、論文作成費等に使用予定である。
|