研究課題/領域番号 |
18K15882
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
井原 健介 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (50770210)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 生物学的ペースメーカ / ゲノム編集 |
研究実績の概要 |
心臓の活動は電気刺激で支配されており、洞結節と呼ばれるペースメーカ細胞にから発生した電気刺激が刺激伝導系と呼ばれる特殊な細胞集団を経由して心臓全体に伝播し、その電気刺激に応じて心臓のポンプ活動が行われている。 ペースメーカ細胞の異常などにより心拍数が遅くなりふらつきや失神を生じる徐脈性不整脈に対する治療法は、現代医学では機械式のペースメーカを植え込む手術しかなく、そのバッテリー交換のため繰り返しの手術が必要となり、その手術による合併症も問題となっている。また機械的ペースメーカによる人工的な電気刺激は、刺激伝導系を介さず不自然な心臓拍動となるためにペーシング誘発性心筋症を生じる。 これら問題点を解決し、永続的な作動/非侵襲的治療/自然な心臓拍動を実現するため、我々は遺伝子を自由に書き換えることができるゲノム編集技術CRISPR/Cas9を応用し、本来ペースメーカ細胞でない刺激伝導系細胞に対して静脈注射でペースメーカ遺伝子導入を行いペースメーカ細胞(生物学的ペースメーカ)化させることを目指している。遺伝子が書き換えられているためにその効果の永続性が期待でき、刺激伝導系細胞をペースメーカ細胞化させるため自然な電気刺激伝播・心臓拍動も維持され、それらを手術ではなく静脈注射で達成できれば機械式ペースメーカに代わる画期的な徐脈性不整脈の治療法となりうると考える。 当該年度においては、前提技術となる静脈注射による刺激伝導系特異的な遺伝子発現誘導法を確立することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り、レポーター遺伝子を用いた組織特異的遺伝発現誘導に成功し確認できた。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、レポーター遺伝子の代わりにペースメーカ遺伝子を用いて、刺激伝導系特異的遺伝子発現誘導を行い、ペースメーカ活動を評価する方針である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当該実験計画に関して学内研究助成も獲得することができたため、初年度に使用予定であった本科研費予算を次年度に回し、次年度計画に予定されている次世代シークエンサーによる解析を中心に実験内容の拡充を図る予定である。
|