研究実績の概要 |
非虚血性拡張型心筋症は左室内腔の拡大と左室収縮力低下を特徴とする特発性・遺伝性心筋症であり、適切な薬物療法や心室再同期療法は一定の成果を挙げたが、適切な治療開始後1~2年で左室逆リモデリング(left ventricular reverse remodeling: LVRR)が得られない症例は極めて予後不良であり、心臓移植を行うしかないのが現状である。臓器移植法の改定後も心移植待機患者数は徐々に増加しており、待機期間もこれらを踏まえて、本研究ではLVRRの予測因子の検討を行い、治療介入を強化すべき症例を検出するとともに、抵抗性症例に対する包括的介入を早期に図ることで、医師・患者ともに薬物療法に対して積極的に取り組 むことができ、良好な予後へと繋がる可能性があり、(1)症例登録、(2)症例への適切な薬物療法、(3)治療後の評価、を行なった。 (1)症例登録:当院の心不全入院患者を対象に症例登録を行い、心臓超音波検査, 心臓MRI, MIBGシンチグラフィー, 心筋生検 、血液検査などのデータを抽出した。3月31日時点で110例を登録した。 (2)日本循環器学会の心不全治療ガイドラインに準拠し、外来にて適切な薬物療法を継続した。 (3)リバースリモデリングの有無の評価として半年から1年後に心臓超音波検査で心機能評価を行なった。心血管イベントとして死亡及び心不全・不整脈による再入院を選択し、イベント発生の有無を追跡している。
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