研究課題/領域番号 |
18K15898
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
中川 仁 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (20533730)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ネプリライシン / cGMP / ナトリウム利尿ペプチド |
研究実績の概要 |
NEP阻害薬が心不全の予後を改善したかについては、ホルモンとしてのANP・BNPの作用を亢進させた事によると考えられているが、心臓局所におけるANP・BNPの局所組織濃度が血中よりもはるかに高い事を考えると、autocrineとしてのNPの作用を増強させた可能性がある。本研究の目的は、NEP遺伝子改変マウスを用いて心筋細胞におけるNEPの作用を検討し、心臓リモデリングに対する心臓局所でのNPとNEPの相互作用を明らかにする事である。 そこで、我々は心筋特異的ネプリライシン過剰発現マウスを作製し以下の検討を行った 野生型マウス(WT)、心筋特異的ネプリライシン過剰発現マウス(aMHC-NEP Tg)と全身のネプリライシン欠損マウス(NEP KO)のbaselineでの血漿・心臓組織でのcGMP濃度はaMCH-NEP TgではWTに比べて有意に低く、NEP KOではWTに比べて有意に高かった。大動脈縮窄術(TAC)による圧負荷を加えたところ、aMHC-NEP TgではWTに比べて有意に心重量、肺重量、心臓間質の線維化が増悪し、心エコーでは心収縮能の低下を認めた。蛋白電気泳動ではSerca2aの発現がTAC後のaMHC-NEP Tgで著明に低下していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
圧負荷モデル作製により、仮説の通り、ネプリライシン過剰マウスでは心臓リモデリングの増悪を認めた。
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今後の研究の推進方策 |
ネプリライシン過剰発現マウスでは血中のANP濃度が低下している。組織でのcGMP低下が心臓リモデリングに影響を与えることを確認するため、血中のANPを補正するためにhANP持続投与しながら圧負荷による心臓リモデリングを検証する。
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