研究課題/領域番号 |
18K15910
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
長谷川 拓也 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (10602584)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 心不全 / 体組成測定 / コペプチン |
研究実績の概要 |
高齢者では左室収縮機能の保たれているうっ血心不全が増加しているが、そのメカニズムは十分に解明されておらず、早期診断は容易ではない。本研究の目的は、生体インピーダンス法による体水分量測定と体水分貯留の一つの指標であるコペプチン、NT-pro BNPを測定し、心不全発症メカニズムの解明、および心不全ハイリスク患者のスクリーニング法の確立することである。私たちの疫学研究の中で次の3つの観察研究を行う。 1) 生体インピーダンス法を用いた体水分量の男女差、年齢の影響の検討:体組成計で測定した体水分量(細胞内液、細胞外液、全体水分量、細胞外液/全体水分量比)を男女で比較し、男女別に年齢群間の違い(加齢による変化)をみる。 2) 体水分量の指標とコペプチン、心機能指標との関連:コペプチン(水代謝調節系の中心であるバゾプレッシンの前駆体)を測定し、体水分量指標との関連を統計学的に検討する。またコペプチンの性差、加齢変化、心機能指標との関連についても検討し、体水分量の性差が水代謝調節系の差に起因しているかどうかを統計学的に検討する。 3) 生体インピーダンス法を用いた体水分量指標による心不全発症予測:測定した体水分量指標により、心不全、心血管疾患の発症を予測できるか統計学的に検討する。 佐賀県有田町の健康診査におけるデータ集積:有田町が実施する集団健康診査受診者で30歳以上の者のうち、本研究について充分な説明を受け、自由意志に基いた参加への文書による同意が得られた者を対象として通常の健康診査に加え、心臓超音波検査、生体電気インピーダンス法による体水分量計測、追加血液検査(NT-pro BNP、コペプチン)を行った。2019年度後半に収集したデータの整理、データベースの作成、解析を行い横断研究を行っている(現在解析中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018(平成30年)4月に当研究の採択通知をいただいた。本研究ではこれまでの研究に加えコペプチンの測定を追加することになり、研究計画書を作成の上、倫理委員会に実施の可否を伺う必要があった。有田町の倫理委員会は年に1回、4月上旬に行われることが慣例になっており、採択通知をいただいた時点ですでに2018(平成30)年度の研究計画の変更は不可能であった。 このため、2018(平成30)年度にはデータの収集を行うことができず、2019(平成31)年4月に有田町倫理委員会で承認をいただき、2019(令和1)年6月にデータ収集を行った。
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今後の研究の推進方策 |
前記の通り、2018(平成30)年度のデータ集積(コペプチン測定)を実施できなかったため、2019(平成31)年4月の有田町の倫理委員会にて2019(令和1)年度の研究計画の承認をいただき令和1年6月の健康診断を行い、コペプチン測定、心エコー、体組成測定を行い、データ収集は完了した。令和1年度後半に収集したデータの整理、データベースの作成、解析を行い、下記の通り横断研究を行っている(現在解析中)。 1. 生体インピーダンス法を用いた体水分量の男女差、年齢の影響の検討:体組成計で測定した体水分量(細胞内液、細胞外液、全体水分量、細胞外液/全体水分量比)を男女で比較し、さらに男女別に加齢による変化の違いをみる。うっ血に関与する因子(腎機能、貧血、高血圧、糖尿病)で調整しても、性差、年齢が独立したうっ血の既定因子であるかどうかを検討する。 2. 体水分量の指標とコペプチン、心機能指標との関連:コペプチンと体水分量の指標との関連を統計学的に検討する。心臓超音波検査で得られた心機能指標で調整しても、コペプチンが独立して体水分量指標と関連するかどうかを統計学的に検討し、コペプチンが心機能と独立して体液貯留と関連があることを検証する。 本年度 (2020(令和2)年度))は、体組成測定を行った集団に対して、心疾患関連死亡、心血管疾患の発症の有無を調査する予定である。有田町健康福祉課と協力し、心疾患発症の確認のための手紙、封筒の準備を行っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020(令和2)年度(最終年度)には、体組成測定を行った集団に対して、心疾患関連死亡、心血管疾患の発症の有無を調査する予定である。心疾患発症の確認のための手紙、封筒の準備を行っている。また研究成果発表(学会発表、論文作成)を行う予定である。2019(令和元)年度(2019年度)に研究費の前倒し助成により順当な研究遂行が可能となった。
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