研究課題/領域番号 |
18K15914
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
三橋 善哉 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 助教 (70754513)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | COPD |
研究実績の概要 |
2018年度はヒト肺におけるLILRB4発現細胞の同定を試みた。非喫煙者・非COPD喫煙者・COPD患者の肺癌手術肺検体から、非癌部分肺組織を取り出し、当研究室にて確立した分離法(Am J Respir Cell Mol Biol 2012;46:422)により、肺組織単細胞懸濁液を作成した。フローサイトメトリーにて、血球系細胞(顆粒球系細胞、リンパ球系細胞、単球系細胞におけるLILRB4の発現を解析した。その結果、ヒト肺において、単球、マクロファージ、樹状細胞に発現していることが判明した。COPDの病態において、気腫形成やマクロファージ貪食能低下を起因とする感染増悪頻度の増加など、マクロファージは重要であり、マクロファージに着目し、COPD患者における LILRB4発現レベルの変化を、非喫煙者、非COPD喫煙者との比較も含め解析した。その結果、肺胞マクロファージでは発現レベルは非喫煙者、非COPD喫煙者と比較し、COPD患者由来肺胞マクロファージにて変化を認めなかった。一方、間質マクロファージでは非喫煙者、非COPD喫煙者と比較し、COPD患者由来肺間質マクロファージにてLILRB4発現が上昇していた。LILRB4発現レベルは肺機能(%FEV1、1秒率、%DLCO)と逆相関していたが、一方、喫煙歴との相関はなかった。肺胞マクロファージについては、LILRB4発現レベルは肺機能(%FEV1、1秒率、%DLCO)とも喫煙歴とも相関はなかった。肺間質マクロファージにおけるLILRB4発現レベルの上昇は喫煙歴とは独立してCOPD指標と相関しており、COPD病態・発症と相関している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度はヒト肺におけるLILRB4発現細胞の同定を試み、その結果、ヒト肺において、単球、マクロファージ、樹状細胞に発現していることが判明した。さらに、肺間質マクロファージでは非喫煙者、非COPD喫煙者と比較し、COPD患者由来肺間質マクロファージにて発現が上昇していた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、LILRB4欠損マウスを使用し、COPD病態におけるLILRB4役割を追求する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
効率的にヒト肺検体の解析が実施できたこと、さらには、分離した肺マクロファージの網羅的発現解析を次年度早期に実施することになったため。研究の進捗には影響しないよう、網羅的発現解析を次年度早期に実施する予定。
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